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Channel: サブカルチャーマシンガン
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【アルバムレビュー】風/エレファントカシマシ

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1.平成理想主義
2.達者であれよ
3.友達がいるのさ
4.人間って何だ
5.夜と朝のあいだに・・・
6.DJ in my life
7.定め
8.勝利を目指すもの
9.今だ!テイク・ア・チャンス
10.風







2004年に出たアルバム
このアルバムの思い出としては、
このアルバムって前のアルバムから6か月で出たアルバムだったんですよね
若手バンドが同じ事してたら「売り出し中なんだろうなあ。」って思うだけですけど、
この時期のエレカシってもうベテランの域に入ってて、それがちょうど半年でニューアルバム・・・っていう、
正直「早っ!!」って当時はかなりビックリした記憶があります
しかも「風」というシンプル極まりないタイトル、
で、この何とも言えないジャケット・・・
何となく生き急いで投げやりで出したんじゃないかと捉われてもおかしくないパッケージですけど、
そういう前情報に反してこれまたビックリするぐらいクオリティの高いアルバムだったのが印象的でした
出てからちょっと後に購入したと思うんですけど、一時期は狂ったようにこのアルバムの曲を聴いていましたね。

このアルバムはエレカシの他のアルバムに比べるとかなりオルタナの匂いが強い気がします
王道のロックとかポップス寄りってよりかはもうちょっと音がザラついててささくれだってる感じ・・・
それでいて歌詞も冷静に熱く、ここから這い上がろう~みたいな、
今の現状をきっちりと把握しつつ、
それでもまだこんなもんじゃねえぞ!みたいな・・・
ちょうど良い具合の歌詞が多い
そう、
このアルバムの曲たちは色々な意味合いで凄く「ちょうどいい感じ」の曲が多いんです
ロックだけどコテコテの感じはしない絶妙に尖ったアレンジ、
静かに、だけど激しく闘志を燃やしている歌詞、
聴きやすいメロディ・・・
この作品の前作から半年というのが信じられないくらいかっちりと作り込まれたロック・アルバムに仕上がっていて、
エレカシの男らしくて野望に溢れるエッセンスがザラついたオルタナサウンドで表現されている、
ある意味キャリアの中でも唯一無二の音像に仕上がっていて凄く好きな一枚です
シンプルに格好良くて痺れる、というか。
正直な話、サウンドデザイン的には90年代の売れてた頃の作品よりも(個人的に)格好良く感じる一枚
全体的にメロディが秀逸なのも今作の特徴なんじゃないかな~って思うのも大きいですね。



まず、
1曲目の「平成理想主義」からして大名曲です
この曲は混沌とした出だしから一気に美メロに変わるサビへの流れが秀逸で、
「平成理想主義」ってフレーズにもグッと来る渾身の一曲目に仕上がってると感じます
この曲は今でもライブではちょこちょこやってるみたい?で今作を代表する一曲ですね
Aメロとサビの印象がまるで違うのもオルタナっぽくて凄い面白い。
 何より、
この曲に関しては初めて聴いた時に、サビメロの美しさに酔い痴れた記憶があるんですよね
これまでのエレカシの中でも聴いた事のなかったぐらいの良いメロディだったので・・・
過激でも、ポップス寄りでもない、だけど、これはこれで最高って思える。
また一つ殻を破ったような新曲に(当時は)聴こえていてそういう意味合いでも思い出深い名曲です

また、応援歌系と思われる「達者であれよ」もアレンジが歪んだギターサウンド中心で、
歌詞の内容としては聴き手にハッパかけてる熱いメッセージソング・・・なんですけど、
音像がオルタナティブロックなのでそこまで暑苦しい感じもなく、
平熱で受け取れる良さがあるのがまた素敵な楽曲
また、
この曲もサビメロがかなり胸を打つものに仕上がっていて、尚且つポップさも感じるので大好きな一曲です

シングルにもなった名バラッド「友達がいるのさ」のドラマチックさ、温か味、
淡々としたテンションの「人間って何だ」も良い具合に葛藤と意志が伝わって来て素敵な楽曲、
アルバムの真ん中に当たる「朝と夜のあいだに・・」「DJ in my life」も各々静かな情熱が伝わって来る、
それでいて心地良いブルースの匂いなんかもしてこのブロックもまた聴いてて気持ちが良い

また、推し曲にした「定め」はシンプルに男らしくて、尚且つエレカシらしい葛藤じみた歌詞になってて、
サビのアレンジとかメロディも個性的でクールで兎角おススメの楽曲です
多少四つ打ちっぽいのもある意味時代を先取りしてて格好良いです
途中の語りがまたロックバンドらしくて最高に面白い
サビの歌詞も、
意外なくらいに地に足が付いた内容になっててこのアルバムの良さを象徴してるようにも思えますね。

サビがどこか分からないけど、タイトル連呼してるだけで格好良い「勝利を目指すもの」、
80年代ポップスっぽいメロディだけどアレンジはやっぱり乾いてて聴き心地の良い「今だ!テイク・ア・チャンス」も好き
全体的に乾いててザラついてて、冷静に燃えてる歌詞の方向性が際立っててそこが素敵な今作ですが、
最後の「風」だけ往年の・・・ポップスの名バラッドのテイストが滲み出ているベタだけど沁みる名曲になってて、
そのコントラストというか、最後の最後に王道の曲で締めるセンスもまた意外性があって面白いと思うし、
何よりアルバム全体がグッと引き締まる感じがしてナイスなラストになっていたと思います
兎角、
最初から最後までとことん良い感じの曲が詰まっている、
そして何よりオルタナティブなサウンドが心地良い・・・っていう
個人的にエレカシの中でも随一にお気に入りのアルバムになっています、ね
全体的に覚悟決めた男の前向きで根性じみた感情が漂っている作品なのが素晴らしい作品だと思います
どの曲もメロディがかなり練り込まれているし丁寧に感じる、、、のが最も好き、な気もする。




「ヘイ スーパーマンを目指すしかあるまい!
スーパーマン目指すしかあるまい!」 (人間って何だ)


他のアルバムと比べて「過激!」とか「王道!」とか「ポップス!」って感じは無い、
でもどれにも当て嵌まらないからこそ、唯一無二で格好良いアルバム、ですね。



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