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Channel: サブカルチャーマシンガン
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【アルバムレビュー】36.2℃/フラワーカンパニーズ

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1.揺れる火
2.産声ひとつ
3.こちら東京
4.履歴書
5.A-HA-HA
6.うたは誰のもの?
7.DO DO
8.一週間
9.アッチ向いてホイ
10.燃えよフラワーカンパニーズ




胸を張れることなど 何一つないよな
真白な履歴書に 生きていますと
太字で書け (履歴書)






まず、
今年の1月にNHKのラジオから「履歴書」って曲が流れて来た時、
正直「これは名曲だな・・・。」と素直に感じました
気持ちの良いギターリフ、
王道のロックサウンド、
そして、
シンプルながら胸に響くメッセージ性の強い歌詞。。
もっと言えば、
未だにこんなレベルの名曲書いてるんだな。とか、めちゃくちゃ詳しい訳ではないので、
ちょっと失礼ながらそれにも個人的には結構感動したかもしれません
歌詞のテーマ的にはもう、今すぐ代表曲になっても、
これが新しい代表曲とかでもおかしくはない
そういう曲をポンと・・・否、勿論作ってる時は苦心もされたのかもしれませんが笑
それでもそういうものを感じさせずスッと出せるのが凄いな、とか感じました
下世話な言い方かもしれませんが、ホンモノのロックンロールバンドだな、って思いましたね。


勿論、
それ以外の曲も良い。
のっけから最高のリフに乗せて力強い衝動が歌われる「揺れる火」の時点で最高
ちょっと最近のバンドっぽい?音作りの「こちら東京」もグッと来るバラードに仕上がってて、
ご機嫌なタイトルとは裏腹に今作随一の鬱ソング「A-HA-HA」も面白い笑
というか、
一切良い事もポジティブな事も歌ってない重苦しい曲なんで好き嫌い自体は分かれそうではある
哲学的な詞が印象的な「うたは誰のもの?」もとても奥深い歌だと思う
そこから、
シンプルに突き抜ける「DO DO」の痛快さ、
フラカン印の乾いたロックンロール「一週間」なんかはとても安心して聴ける出来
恐らく・・・その前にめっちゃ鬱なのとめっちゃ哲学的なのが続いたので、
割とバランスを取ってるとは思うんですよね
そこから、
いきなり和の要素が強すぎる「アッチ向いてホイ」~からの
バンドアンセムっぽい「燃えよフラワーカンパニーズ!」と、意外と・・・
意外と、と言っては全作持ってるようなコアファンからお𠮟りを受けるかもしれませんが(笑
全10曲ながらかなりバラエティに富んだ内容で退屈せずに聴き終える事が出来ました
そもそもトータルタイムも39分なのでサクッと聴けてガッツリ楽しめる作品になってはいるでしょう。

その中でも、
「履歴書」と同じくらい推したいのが「産声ひとつ」という曲
この曲は・・・正直若手バンドですか?ってくらいめちゃくちゃ背伸びしてるというか、
BPM自体かなり早い印象だし、フラカンと言えばオーソドックスな王道ロックのイメージですが、
この曲だけはかなりアグレッシブな疾走感溢れるロックナンバーに仕上がってるんですよ
 更に、
歌詞に関しても・・・
王道の「DO DO」とかとは対照的で(でもあれはあれで分かりやすいフラカンで良い)、
唯一?と言っていいくらい抽象的かつフィーリング重視で深読み上等な歌詞に仕上がっていて、
それもまた絶妙にクールで素敵なんですよね
フラカンっぽくないけど、
すげー名曲だなっていうか。
そう考えると、
このキャリアで安定的なファンもいる中で未だに新鮮味を模索してる様が伺えて、
個人的にはこの曲も結構今後のフラカンを占う上では重要な曲になる予感がします
正直、いきなりエネルギッシュな曲が来て驚きましたもんね(笑
でも、
そのベテランになってもギラギラしてる感じ、
年食っても“青さ”を保ってるその感じはいちリスナーとしては嬉しかったです
全然落ち着く気とかないんだな、って感じて(笑





衣食住には勝てません
そこは重々承知だが
まずい飯でも食えるけど
まずいライブは見れねー (アッチ向いてホイ)


また、
本作はこのタイトルが示してるように、
明確に今の時代の閉塞感を反映しているアルバムでもあります
上記の歌詞なんかモロにバンドマン及びミュージックラヴァーの不満が如実に出てますよね
まずい飯でも~っていうのは、まあ、外出を少なくしても最悪自炊で食っていける、
でも、そもそも行く事自体がまずい(と、されている)ライブは見れない
・・・っていう、
まずいのダブルミーニングを活かした秀逸過ぎる歌詞に仕上がってると思いました
この曲だけではなく、随所に「今だからこそ」の詞が散りばめられてるので、
そういう観点から聴いても面白いアルバム、かもしれません。

個人的には、
フラカン印のロックンロールを期待して買った節もあり、
それは後半の楽曲陣がたっぷりと満たしてくれました、が、
それに加えて前半は「青いフラワーカンパニーズ」が楽しめるアルバムにもなっていて、
オーソドックスなフラカンも瑞々しいフラカンも両方楽しめる現時点での代表作になってるかな、と。
その上で、
今までの代表曲にも負けないくらいの名曲「履歴書」が燦然と輝いている、
非常にバランス感の良い傑作に仕上がってると感じました
今、
“こういう感じのバンド”でコンスタントにリリース続けてるのも貴重な気がするんで、
そういう意味合いでは未来に向けても期待したくなる新譜でしたね。








なお、
赤字の特に好きな3曲は、
正直かなり悩みました・・・笑
燃えよフラカンも入れたかったんですが、
まあ悩めるくらい良いのが揃ってる、という事ですよね。



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